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iPS研究で日本が最先端!?

ちょっと前の記事だったので元ネタを引っ張ってこれないのですが、日本でのiPS細胞研究への期待は相当なモノのようです。
http://www.dir.co.jp/research/bio-medi/index.html

人呼んで万能細胞のiPS(induced pluripotent stem cell)は確かにScientificにすごい。Potentialもあると思う。でも、
1)日本が最先端を行っていて、アメリカが追いついてくるから急いでもっと先に行こう。
2)研究を進めるためにお金をつぎ込もう。
3)お金をつぎ込んだらすぐに新しい治療法や薬ができてハッピー!

という方向に話が進んでいるように感じる。
まず、確かに山中先生はすごいけれども、「日本が」最先端というより、「iPS研究」という最先端の領域で山中先生ががんばっているという方が正しい。山中先生自身、これまでの日本の基礎医学者には珍しく、ちゃんと臨床を、しかも外科をやっている。日本の基礎医学の伝統的な本流でもなさそう。UCSFにもラボを持っていた(いまでも?)。次にお金。これは、結局元々基礎医学研究のためにとってあった予算を40億円横滑りにしただけ。つまり、他の領域がおろそかになっています。最後に実用化についてだが、日本では基礎医学の成果を実際に商業化を進めるためのシステムが欠如している。この状況を打開するべく(私も含めて)色んな人が努力しているわけだが、上述のような予算の使い方をしているため、既にある程度進んでいる技術の実用化の部分にお金が回ってこなくなっているらしい。もしこの状況が続けば、iPS研究の成果が実際に実用化できそうになったときに、実用化のノウハウを持たない素人集団が対処せざるを得ないのではないか…? というわけで、せっかく久々に日本の科学界に出てきたハッピーなニュース、持続して日本の科学力を高めるためにも、日本の力を過信せず、名ばかりの補助ではなく本気でシステムから見直して欲しいと思う。
by KtomoSFD | 2008-07-16 23:12 | Bio Research