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そろそろ試薬業界を離れて2年になりますが、世界的な業界地図の塗替えが起こっているのではないかと思い、このエントリーを書きます。

数年前まではバイオの研究については米国の最先端をヨーロッパと日本が追いかける形があったので、試薬や研究用機器も新製品はまずアメリカで売れて、その後にヨーロッパと日本が追随する状況でした。そして日本では売上のピークを過ぎた後も使い続ける研究者が多く、長期的なサポートが求められます。

最近とある研究用の大型機器について世界での導入実績について触れる機会があったのですが、その機器については欧米に最初に導入された後(あるいはほぼ同時)に中国と韓国に導入されています。日本はというと… 高額な導入費用と、プロダクトライフサイクルの短さゆえに二の足を踏んでおり、実績はゼロ。おそらくライフサイエンス研究の市場ではまだ日本は世界の10%程度の予算を使っていると思われますが、その運用の大胆さにおいて、現時点では中国、韓国に遅れを撮り始めたといえると思います。
もちろん、機器の運用やデータの品質については日本が一日の長があることは否めませんので、現時点でそれら2つの地域に水を開けられているとは思いませんが、少なくとも以前とは環境が大きく変わってきていることは事実です。

「日本は世界中でも新薬を開発できる数少ない国の1つ」ということになっていますが、その力量については年々国際的な情勢が変わってきており、足元のライフサイエンス研究においても変化が起きつつ有ります。何でもかんでもお金をかければ良いとは思いませんが、適切なプラニングが益々必要になると感じます。

# by KtomoSFD | 2015-01-28 20:04 | Bio Business

「ものづくり」の前提?

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/1027/index.html
「物をたくさん作ったらば、地獄に行くってことですよ。(by出井伸之)」
不思議な事に、再生医療では限られた医療費、少量多品種という状況にもかかわらず、将来は規模の経済が適用されるという前提で周辺技術の市場について議論が進行している。このまま進むと今のメジャープレイヤーは医療用に向けた投資ができず、継続的な技術開発は望めないのではないのか?何が本当に産業界にとっての「うまみ」か?を考える必要がある。
「ものづくり」という言葉がもてはやされて久しいが、何を、どのレベルで「つくる」のか?が変化している。製品のコンセプトから部品、組立、最終製品、グローバル販売チャネル、マーケティングまで全て「オールジャパン」で済ませることはありえない。
それよりは、ネスレ、ロシュのような「グローバル企業」をどうやって日本から生み出すかがキーだと思います。
# by KtomoSFD | 2012-10-29 00:20 | Bio Business

PhD 英語 営業

NHKの「国際人」をテーマに取り上げている特集番組を見ました。途中で博士人材の話題があり、あるいはポスドクで路頭に迷っている人を見ているから、ドクターコースに進学する人が激減しているという話がありました。それに絡めて…

最近、同僚が二人転職して行った。メガファーマでMSL(Medical Science Liaison)をやるそうで、給料も良いらしい。そういえば私にもLinkedIn経由でのコンタクト申請が最近増えてきていて、同様の話は何度か伺ったことがある。給料も今の4割増しくらいになる。
共通しているのは
 1.PhDを持っている。
 2.ビジネス英語上級者。
 3.営業経験がある。
自分の場合は営業よりは事業開発の方の経験になるので少し違うが、どうやらこの3つを持っている30代の人材は今のところピンポイントで売手市場になっている。MRでの営業活動だけで製品の市場浸透が十分に達成できなかったメガファーマが、アメリカでの成功体験からMSLを日本に導入してMDの先生方と対等に議論できる体制を整え、内資との差別化を図っていという構図と予想する。

大学院に入った15年ほど前にはこんなところでPhDが活躍できるとは思っていなかったけれども、着実にビジネス能力を高めて上記の3つを獲得している人には今回道が開けたということになる。もちろん、今後このMSLが日本に定着しない可能性もあるが、その場合でもこの手の人材は他にもスキルを身に着けていることが多いので、新たな道を開拓していくのだと思う。

さて振り返って、自分はどうするかですが… うーむ、給料は魅力なんですが…
# by KtomoSFD | 2012-10-24 01:41 | Bio Business

何気なく参加する形でLinkedInの英語版の医薬品、Biotechのライセンス、事業開発系のグループに参加している。現時点で7−8グループ。
これに対して日本語でコミュニケーションをとっているグループが気になって検索してみたところ、
「医薬」「ライセンス」ではゼロ。
「ライセンス」でかろうじてビジネス関係のグループが数個ヒットするが、「医薬」だとスマホの活用術のグループが一つだけ。

LinkedInがまだ日本に浸透していないことが原因か、ひょっとすると、自分で始めてみると意外に情報が集まってくるのでしょうか?
# by KtomoSFD | 2012-09-23 16:42 | Bio Business

龍馬脱藩

友人が会社を辞めた。
大河ドラマの龍馬伝の「龍馬脱藩」のオンエアに合わせてだっただけに、脱藩したと本人はうそぶいている。

自分にとっての脱藩は;
周りと一緒に就職せずに博士に進んだ事。
ポスドク2年目で見切りを付けて恩師に頼み込んで留学した事。
頼み込んで留学したにもかかわらず、勝手にビジネスの世界に飛び込んだ事(先生本当にゴメンナサイ)

脱藩に比べて重みは無いかもしれないけれども、様々な環境に自分をおく事で、人間は成長すると思う。大企業でも中小でも、変化に富んだ環境に恵まれた人、あるいは変化を呼び込んだ人は成長する。逆に転職しても環境が変わっても、Mindが変わらない人は不幸かもしれない。

義理の母はキムチを漬けるとき、白菜の微妙な味の違いにあわせてつけ込む材料を加減しているらしい、時にはリンゴをすって入れている。単純作業の中にも創意工夫は潜んでいる。逆に一件ダイナミックに見える仕事でも、工夫無く人間の感情だけで動いている事が多い。
# by KtomoSFD | 2010-04-19 23:05 | Who am I?